『実在する理想郷が生み出した幻想風景』景色や建築物の持つ背景を知ることで幻想風景への愛を加速させる清水大輔に、その魅力を聞いてきた!

2018/10/06

僕が東南アジアへ旅に出た時、台湾でハッとするような光景に出会った。
『九份』
綺麗すぎて、慄くほどの迫力は思い出しても鳥肌が立つ感覚を憶える。
旅でなくとも、旅行先で惚れ惚れする景色に遭遇することは誰にでもある。
今回は、幻想的な景色を撮り続ける写真家の清水大輔さんに話を伺った。
 
理想郷

 

清水さんの普段の生活

 

 

スタイル
はじめまして、スタイルです! 本日はよろしくお願いします!
清水さん
はじめまして。こちらこそ、よろしくお願いします。
スタイル
早速ですが、清水さんの普段の生活について、教えてください。
清水さん
本職としては以前まで幼稚園に勤務していたんですが、今年の9月で退職しました。
現在はファンタジーの世界に出てきそうな装備やアクセサリをレザークラフトで作ったり、依頼があればイベント撮影の仕事を請け負ったり、興味深い場所があればカメラを持って旅に出てます。
スタイル
ファンタジー世界に出てきそうな装備を作っているという事は、やっぱり写真の装備も清水さんがご自身で作られたんですか?
清水さん
そうです。これも自分が作りました。
スタイル
やっぱりそうだったんですね! カッコいいなぁ。
写真のお話がありましたが、写真集なんかは販売していないんですか?
清水さん
写真集は主にコミケ、コミティアなんかの即売会で。通販ですとAmazonや大手同人誌ショップでも取り扱ってもらってます。
革細工は主にデザインフェスタやアーティズムマーケット等のイベントで販売してます。
以前はこの手の趣味を本業にする勇気がなかったんですけど、今はこうしてフリーランスで活動しつつ、今までの活動を活かせる写真関係の仕事も並行して検討している感じです。
スタイル
これまでの経験が次の仕事に活きていくわけですね!

清水さんレザークラフト

憧れの景色に立つ

憧れの地

 

スタイル
ゲームが好きだという方は大勢いるように思います。だけど、ゲーム風景が好きでその風景を実際に探して撮影する、という方は珍しいと思いました。
撮影を始めたきっかけはどういうものだったのでしょうか?
清水さん
始めは廃墟の撮影をしていたんです。一時期はその関係で商業誌で書かせていただいてもいました。でも趣味でやるのは兎も角、不法侵入という違法行為を伴ってお金を得るという事に違和感を感じずにはいられなかったので、廃墟を撮るのはやめました。
その後、廃墟以外の写真撮影を続けていた折に『天空の城ラピュタ』のモデルとなった場所がカンボジアにあると耳にしまして。ジブリは本当に大好きでラピュタなんてもう何十回と観ていたものですから、「面白そう!」と思って訪れたのが今の活動を本格的に始めたきっかけですね。

廃墟

スタイル
ラピュタのモデルですか。それは僕も見てみたいです!
清水さん
ラピュタは有名ですよね。
でも、実際はどうにもガセネタでした。ラピュタの劇場公開当時、モデルとなった遺跡の周囲は地雷だらけで立ち入り禁止区域だったんです。さすがの宮崎駿監督もそこを突破して見に行ったとは考えにくいですし。日本の旅行代理店や現地の観光業の人が煽ってただけのようで。

ラピュタのモチーフ

スタイル
そうだったんですね……少し残念です。
話は少し変わりますが、ゲーム風景の写真を実際に探して撮っている清水さんが思うゲーム風景の魅力なんかがあったら教えてください!
清水さん
それは何といっても、子供の頃からマンガやゲームの中で見て憧れていた幻想的な風景が、自分の目の前に実際に存在していることですね。
それこそ「ラピュタは本当にあったんだ!」みたいな。(笑)
スタイル
なるほど! とするとゲームの作り手の「父さんは嘘つきじゃなかった!」ってわけですね。(笑)
清水さん
そうですそうです(笑)
いつか見て憧れていた幻想的な景色を自分は今、ディスプレイ越しではなくこの目で見ていて、そしてその場所に立っている。その充実感が一番の魅力だと思います。
スタイル
そういう憧れは誰しもがきっと一度は抱いたことがあるものですよね。憧れの地に立つ、というのは、これ以上なく充実した体験だと思っています。

理想郷

オリジナリティが故のカッコよさ

スタイル
ゲーム風景の写真を撮影する際、何かこだわりはありますか?
清水さん
そうですね、こだわりというか分からないのですが…。「二次創作コスプレ」や「聖地巡り」みたいに特定のキャラやシーンの再現を撮影することにはあまり興味がないんです。
スタイル
そうなんですか? ゲームの風景と同じ写真を撮ることに興味があると思っていましたので少し意外でした。。
清水さん
言い方が悪いけれど、そういうのってある種の模倣にしかならないと思っているんです。一応念のため言うと、「模倣」自体は悪では無いですし否定する気もありません。
ただ少なくとも自分は構図にしろ風景にしろ、写真の中に於いてはあくまでも自分の世界観を構築したいんです。そして自分で良いと思ったものを自分の思ったように撮りたいんです。
スタイル
先程の話を踏まえると、誰かの作品から清水さんの作品に、清水さんの世界から誰かの作品に繋がっていくということですよね?
清水さん
そうですね。でもカメラマンの需要があるのは、断然二次創作コスプレとかのほうだと思うんですけど。
でも自分が見たいのはあくまでその人自身が作り上げた姿なんです。そういう人……例えばマンガ『キン肉マン』のコミックス巻末に「ぼくの考えた最強の超人」みたいなコーナーあったじゃないですか。あれを現実の世界でやってしまう人って、もの凄いエネルギーを持っていると思うんです。
そして同時に、単なる真似事でも借り物でもない、「これが俺の考えたカッコよさだ!」っていう魅力と自信に満ち溢れている。そんな人達が一番好きなんです。

清水さんレザークラフト2

奏音さん(衣装:清水さん)

 

夜々さん(衣装:清水さん)

 

無駄は決して無しにはならない

スタイル
最後になります! 『STYLE』は多くの若い方が読んでくださっているメディアです。そういう若い読者の方に対して、何かアドバイスのようなものを頂いてもいいですか?
清水さん
今は、不景気の影響やら何やらで、「無駄な行動」というのが嫌われる傾向にありますよね。お金や時間とか余力がないなら仕方ないかもなんですが……。でも、色々なことにチャレンジすることが大切だと思います。失敗していいし、なんなら無駄になってもいいので。
スタイル
無駄になってもいいんですか?
清水さん
無駄になってもいい、と言うと少し誤解があるかもしれませんけど。
例えば……僕は約20年ぐらい前、日常の出来事を面白可笑しく文章にして読者に楽しんでもらうような、いわゆる日常系のテキストサイトを運営していたんです。
スタイル
清水さんも文章を書いていた時期があったというわけですね。
清水さん
はい。でも、テキストサイトをやめてしまったからその経験が無駄になったのかというと実はそうではないんです。
例えば写真集の中に旅先で起こった出来事も文章で添えているんですけど、その際に非常に活きています。旅先でひどい目に遭ったりすると普通は「二度とこんな国来るもんか!」ってなるじゃないですか。でもね、旅のトラブルって客観的に見たら結構笑えるんです。そして、「あ、このトラブルはネタで使えるな」とか。芸人かよ! って言われるかもしれませんけど、そういう失敗やトラブルを自分の中でプラスに出力する力って正直もの凄い便利だし大事だと思います。
当時テキストサイトをやってて身に着けたものなんですが、人生においても凄く大事な力だって思います。
スタイル
トラブルに起きてほしいというのは珍しい願望ですね!(笑)
でも、何となく清水さんの仰りたいことが見えてきました!
清水さん
トラブルの話を楽しみに買ってくださる読者の方もいるくらいでして……。
結局今まで積み上げてきたことで無駄だった事って、ほとんどなかったと今は思うんです。むしろ、積み上げてきたことがあるからこそ、今の自分がいるのかなと。
スタイル
今は無駄だと思っていることでも、いつどこでどんな風に活かせるかわからない、ということですね!
清水さん
そうですね。10代、20代の頃に積み上げたもので30代の世界が変わると思います。もちろん、一つの事に淡々と打ち込むのもアリです。それはそれで強力な武器になります。
でも色んな事をやっていると、体力的にも精神的にも衰え始める30、40代でも「あれをやってみよう」「これをやってみよう」という風にフットワークの軽さを維持できますし。若いうちに失敗しておいたほうが、あとあと自分が楽になります。失敗のダメージが少ないうちに失敗しといた方がおっさんになった時楽ですし。

 

清水さんにとって幻想風景というLIFESTYLEは?

『実在する理想郷』

理想郷―ユートピアという言葉には「素晴らしい場所であり、どこにもない場所」という意味があるんです。

自分が子供の頃から憧れた小説、漫画、ゲームの世界や風景って、つまるところ「誰かが作った世界」であって実在はしません。でも人間は完全な0から1を作れる人って正直稀です。
世界中にはそんな創作の種に成り得る風景ってもの凄く沢山存在しているんです。
でも 『じゃあ自分も海外に行くぜ!』 って実行できる人ってそこまで多くないと思うんです。
日本のパスポートの信用度は世界最強だって言われてても、それを活かせる環境にいる人って実際そう多くはないのが現状ですよね。
そこで自分が世界の風景を切り取って写真にして、それを目にした誰かが作り上げる作品の媒体として形を変えながら繋がっていく。
そんな過程に自分は魅力とやりがいを感じています。

 

清水さんはそう口にした。

魅力あふれる世界を作る原動力となりうる風景を愛し、次の人へバトンを渡すべく幻想的な風景の写真を撮り続ける清水大輔さんを、STYLEは応援していきます!

 

齋藤 迅 著

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