漫画家 やじまけんじ プロフィール画像
『頭の片隅にはずっと漫画家という夢があった』諦めても諦めきれない夢と向き合った漫画家やじまけんじの人生について話を聞いた。

2018/10/06

初めて夢を抱いたのはいつだっただろうか。 
 
ましてや、その夢を覚えているだろうか。 
 
ほとんどの人が初めて持った夢を忘れてしまう中で、やじまさんはそれをずっと追いかけてきました。 
 
今回は幼い頃からずっと漫画家になることを追い続けたやじまさんにどう漫画というものと向き合ってきたのか話を伺った。 
 
では、楽しんで!
 
やじまけんじ 漫画

「自分のスキルを活かしたい」

スタイル
まず漫画家になりたいと思ったきっかけを教えてください!
やじまさん
初めて漫画家になりたいと思ったのは、小学校一年生か二年生の頃でした。
父親が漫画家を志していたのでですが早くに諦めたそうなんです。それと母親もアニメーターで、二人とも漫画などの文化が好きで僕のことをとにかく褒めてくれました。
スタイル
どんな風に褒めてもらっていたんですか?
やじまさん
ド直球に「天才だから漫画家になった方がいい」って感じです。(笑)
 それで僕は「そういうものなんだな」「自分は漫画家になるんだな」と思うようになったんです。それがきっかけだったように思いますね。
スタイル
素敵な御両親ですね! それじゃあ、御両親の協力のもとで、やじまさんは漫画家を目指してきたというわけですね。
やじまさん
それがそうでもないんですよ。両親は現実に何をやればいいか、ということは教えてくれなくて。
専門学校の卒業前、持ち込みに行ったんですけど絵はいいけど面白くないって言われちゃって。それで一度嫌になっちゃったんです。それから暫く別の仕事をしていたんですけど、去年くらいにもう一度やってみようかと思って。
スタイル
そんなことがあったんですね。てっきり、漫画家志望とアニメーターの息子でサラブレッド的人生を歩んでこられたのかと思いました。
 漫画を描いていなかった間、仕事は具体的にどんなことをされていたんでしょうか?
やじまさん
会社員やフリーターですね。今は中学時代の友人がコミケで販売している本の売れ行きが好調で、その手伝いをしてアシスタント料を貰ったり、あとは広告やイラストの仕事をやっています。
スタイル
中学校時代のご友人ですか?! もの凄い縁ですね! そのご友人とはやっぱりお互いに絵が好きで仲良くなったんですか?
やじまさん
全然そんなことはなくて、共通の友人を通じて知り合いました。しかも、僕がその友人が絵が上手いと知ったのは知り合った後でしたね。あの時は、お互いにジャンルも違うし、まさか一緒に働くことになるなんて思ってもみませんでした。
スタイル
素敵な出会いでしたね。
 話が戻りますが、どうして再び漫画を描こうと思ったんでしょうか?
やじまさん
そうですね、27歳くらいの頃だったかな。会社員やフリーターをやっていて、奥さんに「そろそろどうするか決めたほうがいいんじゃない?」って言われて。クリエイティブな何かがやりたかったので、はじめはCG系の学校に行ったんです。だけど、何かが違くて。
スタイル
やっぱり漫画を描きたかった、という事でしょうか?
やじまさん
どうでしょう。ただ、自分のスキルを活かしたい、という思いはありました。それにそのタイミングで友人から手伝いの声がかかったんです。自分の漫画を描くために、友人の手伝いの仕事はすごく良い環境でした。
スタイル
確かに会社に勤めるよりは時間の融通が利いてやり易そうですね!
やじまさん
はい、だいぶ気楽にやらせていただいてますね。(笑)
 そういう流れで改めて漫画を描くようになって、だいたい一年前から毎日ネット上で漫画を公開するようになりました。その後は声をかけていただいて佐渡島さんのサイトで漫画を公開しています。

描きながら蓄積されていく知識!

スタイル
ネット上に毎日漫画を公開しているというお話がありました。毎日漫画を描く、というのはものすごいエネルギーが必要だと思いますが、どういう時に作品の題材が浮かんできますか?
やじまさん
初めのうちは、書店で働くクマのお話を描いていたんです。書店で働いていたので、知っていることなら描けるかな、と。日常の事や書店あるあるですね。例えば、「本の付録が大きすぎて嫌だな」みたいな。そういう些細なことを。
スタイル
働いていた実感をもとに描くというのは、やじまさんだからこそ描けることですね!
やじまさん
そうかもしれませんね。登場人物であるクマに自分を仮託して、そうして自分の思いを描いています。

やじまけんじ 漫画

スタイル
書店以外のことを描く際には、どのようなことを描くんですか?
やじまさん
学校での失敗談なんかも描いたりしますね。佐渡島さんに、「自分の感情を描くことが大切だ」と教えていただいたので、「自分の感情」を描けるものを意識しています。
スタイル
佐渡島さんがアドバイスをくださったんですね! 羨ましいなぁ。
そのアドバイスを受けて、やじまさんはどのように変わりましたか?
やじまさん
やはり「感情」を描くということですね。
あとは、絵なんかは描き慣れていたこともある、なんとなくで描いてしまうことが多かったんです。既存のやり方に沿ったやり方というか……。でもそれだと、オリジナリティがなくなってしまうんですよね。
スタイル
「感情」という折角のオリジナリティが失われてしまったらもったいないですもんね。
やじまさん
佐渡島さんに言われたことがあったんですよ。
 「好きなことに対する洞察は大事で、深い知識も必要だよ」
 って。だから「感情」を描くとはいっても、自分が知っていることだけを描くのは別だと考えています。
スタイル
「感情」を描く、というある種作品の内容に関するものだけでなく、絵の方も変化しているんですね。
やじまさん
まだまだ、クマについても詳しくなれていないので勉強中です・

やじまけんじ 漫画

登場人物の日常をのぞき見る

スタイル
ここまでのお話で、やじまさんの漫画に対する真摯な態度をすごく感じています。そんなやじまさんが漫画を描く際に何か絶対的なこだわりを持っていたら、是非教えてください!
やじまさん
僕はまだまだ修行中の身なので絶対的とはいえませんけど、背後にあるどうでもいい小物やポスターなんかを描きたいといつも思っています。
スタイル
背後にある小物やポスターを描く、ですか……。どういうことでしょうか?
やじまさん
そういうものを描くことによって、読者の方が今読んでいるのは、登場人物が普段生活している場所での事なんだよ、というのを意識してもらいたいんです。本来読者の方には見えない生活の端っこが見えている、みたいな。

やじまけんじ 漫画

スタイル
漫画の始まる直前や終わってからも、登場人物の生活が存在している、ということですね。
やじまさん
そうですね。例えば部屋が散らかっていたり、口の周りにジャムみたいなものがついてしまっていたり。そういうところから登場人物の生活を想像してもらえたら、より物語が楽しめるかな、と思っています。
スタイル
素敵ですね! 登場人物が本当に世界のどこかで生きているような気持ちになれそうです!
ストーリーの部分では何かこだわりはありますか?
やじまさん
繰り返しになってしまうかもしれませんが、知っていることや描く対象について、深く描くということでしょうか。
スタイル
なるほど、それじゃあ書店員のクマの話は、まさにそのこだわりから生まれたんですね!
やじまさん
はい。あと、こだわりというか課題だと思っているのは登場人物に「演じている」感が出てしまっていることですね。今後はそういう部分を直していきたいと思っています。
スタイル
登場人物に演じている感が出てしまっている、というのは、どういう点で良くないんでしょう?
やじまさん
読者の方が作品の世界に没入できないと思うんです。企業の広告漫画ってあるじゃないですか? あれってよく、企業の気配を感じてしまって作品に没入できないと思うんです。それに似た感覚かなぁ。
スタイル
それは絵の上手さとかではないですよね?
やじまさん
「絵」というよりは「漫画」それ自体の上手さですね。今後はそういう上手さを求めて、読者の方が作品の世界に没入できるような作品を描きたいと思っています。

「自分の感情を漫画にすることは感情のリハビリみたいなものです」

スタイル
やじまさんにしか分からない漫画の魅力があったら教えてください!
やじまさん
漫画を「描く」魅力になってしまうんですけど、自分が何をどう感じているかを漫画にするようになって、自分の気持ちに敏感になったんです。自分の感情に素直になれたというか。
スタイル
今までは逆に、自分の感情に対して素直ではなかったんですか?
やじまさん
辛い感情に蓋をするようになってしまって、それといっしょに嬉しい気持ちにも蓋をしてしまったんです。だけど、自分の気持ちを漫画にするようになってからは、嬉しいことをきちんと嬉しいと感じられるようになったと思います。 
 そういう意味では「感情のリハビリ」みたいなところが、漫画を描くという事にはあるのかもしれません。
スタイル
自分の「日常」を描くことはあっても、「感情」を描く漫画家さんは少ない気がします。そういう意味で、やじまさんにしか描けないものがあるんじゃないでしょうか?
やじまさん
どうでしょうね。(笑)
とりあえず、今は過去の嫌な感情を段々と引き出していこうと思っています。営業の仕事をやっていた頃なんか、ストレスで頭がかゆくなってしまったりしていたんです。そういう嫌だった気分にしていた蓋をゆっくりでも、どんどん取っていけたらいいかなって。
スタイル
蓋が開ききった時にとんでもなく面白い作品が出てきそうですね! 楽しみに待っています!

やじまさんにとって、漫画家というLIFESTYLEは?

世の中と繋がるためのコミュニケーションツール

世の中と自分。 
 
他の人と他の人。 
 
そういう人々に会話中に使ってもらうとか、そういった形で漫画家としてコミュニケーションツールになりたいと思っています。 
 
また、読んでくれる方が大事なので、双方向性があったらいいと思うんです。 
 
 
やじまさんはそう口にした。 
 
作品の外部に伸びる延長線上の物語までを考え、感情を描く漫画家やじまけんじさんを、STYLEは全力で応援していきます!

齋藤 迅 著

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